相続の基礎を知る①

目次

相続の基本

相続の開始

(相続開始の原因)

相続は、死亡によって開始する。

民法第882条

【死亡とは】

  • 自然死
  • 失踪宣言 (民法第30、31条)
  • 認定死亡  など

(相続開始の場所)

相続は、被相続人の住所において開始する。

民法第883条

「被相続人の住所」がポイントです。

(相続の一般的効力)

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

民法第896条

相続人

被相続人の財産上の地位を承継する者のことを相続人(そうぞくにん)といいます。

これに対して、相続される財産、権利、法律関係の旧主体を被相続人(ひそうぞくにん)といいます。

相続開始前には、推定相続人といい、被相続人の死亡による相続開始によって確定します。

財産を相続する能力は自然人のみにあるため、法人は相続能力を持ちませんが、胎児は相続能力を持ちます。

(相続に関する胎児の権利能力)

胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

民法第886条

相続の手続き

  •  死亡届
  •  相続人の限定承認
  •  準確定申告
  •  相続税申告
  •  他

単純承認・限定承認・相続放棄

単純承認

プラスの財産とマイナスの財産とをすべて無条件に引き継ぐことが単純承認です。

相続開始後、何も手続しなければ単純承認したとみなされます。

限定承認

プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐのが限定承認です。

マイナスの財産がプラスの財産よりも多いかどうか判断が難しい場合などに利用します。

限定承認は相続人全員の合意が必要で、相続人全員が一緒に行う必要があります。

ひとりでも合意しない人がいる場合は、相続人全員がそれぞれ単純承認か相続放棄をすることになります。

限定承認の期限は、相続開始を知った日から3か月以内で、何もしないままでいると、自動的に単純承認をしたとみなされます。

期間の延長をしたい場合は、期限が来る前に手続きをする必要があります。

相続放棄

前述、民法第896条 「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。・・・」とあるように相続は被相続人の財産上の権利と義務の一切を引き継ぐことになり、マイナス財産も一緒に引き継ぎます。

相続をすると不利になる場合、「相続放棄」を行い、相続に関するすべての権利や義務を放棄します。

マイナス財産が多い場合のほか、残された配偶者に全財産を相続させたい、あるいは家業の後継者にすべてを譲りたいといった理由でその他の相続人が相続権を放棄するケースもあります。

手続きは、相続開始を知った日から3か月以内に、被相続人の住所地の家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。

家庭裁判所で手続きをしないと、財産を何も相続していなくても、亡くなった方に借金など債務があった場合は、法定相続分で負担する義務を負ってしまいます。

相続放棄は、限定承認と異なり相続人各人が個別にできます。相続放棄をすると原則として撤回することはできない為、手続き前には熟考が必要です。相続放棄をした場合、代襲相続は発生しません。

なお、相続放棄をしても、死亡保険金や死亡退職金、遺族年金などは遺産ではないため受給権があれば受け取ることができます。

ただし、法定相続人ではなくなるので、法定相続人に適用される相続税の非課税枠は適用されません。

相続の流れ

準確定申告

年の途中で死亡した人の場合は、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。

国税庁:「よくある質問」より

相続税だけでなく所得税も申告が必要になる、ということですね。

相続税申告・相続税の納付

被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した各人の課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告をする必要があります。

 「遺産に係る基礎控除額」は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の算式で計算します。

課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額で以下である場合には、相続税の申告をする必要がありません。

ただし、小規模宅地の特例等の特例を適用し課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告をする必要があります。

相続税の申告書の提出期限は、相続開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月目の日です。

申告期限が日曜・祝日などの休日又は土曜日にあたるときは、これらの日の翌日が申告期限です。

相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時における住所地を所轄する税務署長に提出します。

(相続人の住所地ではない)

相続税の申告書は、同じ被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税制に係る贈与によって財産を取得した人が共同で作成して提出することができます。

しかし、これらの人の間で連絡が取れない場合やその他の事由で申告を共同して作成できない場合には、別々に申告書を提出しても差し支えありません。

相続人の確定

配偶者(常に相続人)

配偶者は常に相続人となります。

婚姻届を提出している夫または妻をいい、内縁の夫または妻は含まれません。

子(第1順位)

子が相続開始以前に死亡し又は相続権を失っている場合は、その代襲者(孫などの直系卑属)が相続人となります。

直系尊属(第2順位)

第1順位の相続人がいない場合に初めて相続人になります。

兄弟姉妹(第3順位)

第1順位の相続人も第2順位の相続人もいないときに限り相続人となります。

代襲相続権は兄弟姉妹の子に限り認められ、兄弟姉妹の孫以下は法定相続人にはなりません。

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この記事を書いた人

介護施設建設の土地活用事業に携わり、地主さんとの出会いがきっかけで、賃貸経営を始めた。アパート・マンションを6棟購入し様々な経験を通じて不動産賃貸業の魅力を発信している。◎宅地建物取引士 ◎CPM®(公認不動産経営管理士) ◎CCIM(公認不動産投資顧問) ◎事業承継士 ◎相続対策コンサルタント ◎賃貸不動産経営管理士 ◎賃貸住宅メンテナンス主任者 ◎土地活用プランナー®

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